Clubhouseという、音声SNSがかなり流行って来ている。
米国で2020年3月にローンチされたサービスだが、関連ツイートの急増っぷりを見ると、日本では今週前半(1/25〜26)くらいが『アーリーアダプター内でのキャズム超え』だったんじゃないかと感じている。
(今年に入ってから、日本の国番号の携帯電話でのSMS認証が許可されたからという噂も。)
逆に言えば、サービス初期のボーナスタイム(アーリーアダプターや有名人や変人しかいないレアで面白い時間)は、あと1、2週間くらいかもしれない。そういう体験が好きな人は、急いで招待してもらおう。
この記事は、Clubhouseのどこが新しいのか、どうやって始めるのか、エゲツない招待制の構造、日本での今後の展開予想などについて、SNSマーケひとすじ12年の専門家の視点から書いていく。
目次
- Clubhouseという、音声SNSがかなり流行って来ている。
- どこが新しいの?
- どうやって始めるの?
- エゲツない招待制の構造
- 日本での今後の展開予想
- ClubhouseとSNSの未来について語る会やります
どこが新しいの?
Clubhouseはひとことで言えば、音声チャット部屋を作って交流するSNSだ。
それなら大昔からSkypeがあるし、ゲーマー御用達のDiscordもある。iPhoneアプリの初期には「斎藤さん」なんていう不特定多数とボイスチャットするサービスも流行った。
それでもClubhouseが画期的と言われる理由は、とことん機能を削ぎ落として研ぎ澄まされたユーザー体験だ。
まず、音声コミュニケーション以外の機能が、徹底的に削ぎ落とされている。いいね、コメント的な機能も、テキストや画像やURLをやり取りする方法もない。全く新しいサービスにとっては、引き算のデザインが理想的だが、なかなか出来るものではない。
このアプリでできることは、
- チャット部屋を作って人を呼ぶ
- リスナー(聴き手)として話を聞く
- スピーカー(話し手)として話す
- 定期配信チャンネル(club)を運営する
のおもに4つだけである。そして画像や映像の要素は皆無だ。
とてつもなく手軽だし、中毒性がある。気軽にどこかの部屋に入ると、まずは「リスナー」になる。自分が話したい時は「挙手」機能でアピールして、部屋の管理者の判断で「スピーカー」として引き上げてもらうこともできる。
発言が強制されないから、ラジオアプリのような画面を消しての「ながら聴き」がしやすいし、リモコンで番組を切り替えるようにザッピングしながらの聴取にも最適だ。しかも、入れる部屋は一度に一つだけ。同時に複数の部屋に入れないのでトーク内容に集中できるし、逆に部屋を出入りして他の部屋を気軽に覗きにいくことに抵抗がないUIになっている。
また、ボイスチャットとしての音声クオリティも高い。音質もいいし、なにより遅延が非常に少ない。発言者に順番にスポットライトが当たるZoom会議とは違って、同時に発声出来る人数も多いので、パート分けして合唱も出来るかもしれない。ちなみに、このサービスを楽しむのなら、AirPods Proのようなマイク機能つきのワイヤレスイヤホンは、基本的人権レベルの必須アイテムだと思う。
【Clubhouseの特徴まとめ】
- 音声コミュニケーション以外の機能が、徹底的に削ぎ落とされている
- ルーム内では、リスナー、スピーカーの2つの権限を、簡単に行き来できる
- ながら聴き、ザッピング(リモコンで番組を切り替えるような)に最適
- ボイスチャットとしてのUI/UXも、音声クオリティも高い
どうやって始めるの?
まず、現時点ではiOS向けアプリなので、PCやAndroidからは使えない。
次に、Clubhouseは完全招待制なので、招待が無いと使えない。すでにサービスを使っている知り合いを探してみよう。
アプリは、招待される前にインストールして「招待待ち状態」にしておくのがオススメ。理由は、先に押さえておきたいアカウントID(英数字)を予約できるから。使いたい「アカウント名」を先に予約しておくと、いざ招待された後に最速で使えるようになるのでオススメだ。
新規登録に必要なのは「iPhone」と「招待コード」と「電話番号」だけである。
※新しい仕様がわかって来たので追記
・お互いがiOSの「連絡先」に電話番号を登録してる同士なら、招待枠を消費せずに招待が可能(Activity通知欄に出て来る)。ただし、誘われる側は、先に「招待待ち」状態まで登録を進めておく必要がある。
・招待枠は後からも増える。詳細条件は不明だが、自分がモデレーターになって部屋を開いてる時間か回数が一定以上になると、新たに3枠追加されるという話だ。
エゲツない招待制の構造
招待制SNSといえば、mixiを思い出す人も多いのでは? Clubhouseも完全招待制だが、特殊なルールによって、芋づる式に増えるクレバーな仕組みになっている。
- ユーザーが招待可能な人数を、たった『2人』のみ招待
- 誰かを招待するにはiOSの「連絡先」データ取得権限の付与が「必須」
2人という招待枠の数には度肝を抜かれた。誰を誘うにしても少なすぎる。案の定、あちこちで話題になっていた。この枠を有効活用しようとすると、特に仲がいい友人のためにとっておくか、狭いコミュニティの中で全員登録するために順繰りにバトンを渡していくか、そのどちらかになりがちだ。自分は後者のやり方で招待してもらった。招待制の大きなメリットは、すでに仲がいい友人と一緒にサービスをスタートできるという点だ。SNS上での交流をロケットスタートすることができる。
一方、2番めの「連絡先」必須の仕様もヤバい。知人のデータの全てがサービス側に流れることになる。これはLINEがサービス開始時に使った手法で、当時は利用期限などもなく権限が更新され続けて後に問題視されたが、間違いなくサービスの普及を牽引した。おそらくClubhouseでも、このデータはマッチングやレコメンドに使われているようだ。
機能はシンプルに、招待の仕組みはパワフルに、はClubhouseのマーケティング戦略的な特徴かもしれない。
日本での今後の展開予想
Clubhouseは、新しいSNSとして定着するのだろうか? それともまたマストドンのように、いっとき華々しく持ち上げられ、ゆるやかに絶滅してしまうのだろうか?
ユーザーの行動を見ると、アーリーアダプター達は例によって数日間は遊び倒してから、飽きてまた他のサービスに行きそうだ。この後に流れ込んで来るのは、ビジネス知名度の向上やオンラインサロン勧誘などに使いたいビジネスユーザー達と、先行者利益を活かしてYouTuberのように『稼げるClubhouser』になりたい人達だろう。現時点でも芸能音楽業界やマスメディアの関係者は増えて来ているが、芸能人や有名人もどんどん参入してくると思っている。そうなれば、スピーカーとリスナーがダイナミックに切り替わるような部屋は減っていくだろう。あと、これは予言しておくが、たぶん今から1ヶ月以内に、Clubhouse内で誰かが話したヤバい内容がTwitterなどに流れて炎上事件が起こると思っている。一般人への普及はそこから始まるだろう。
結果的にClubhouseは日本では、そこまで定着しないと思っている。日本人は挙手をしてまで自分の考えを述べることに慣れていないからだ。結局は有名人がスピーカーとして固定され、それを一般人が聞くスタイルに落ち着き、SHOWROOM、17ライブなどのライブ配信アプリと変わらなくなって行くのではないか。一方で、クローズドな使い方にはまだまだ可能性がある気もしている。
ClubhouseとSNSの未来について語る会やります
そんな未来予想トークも含めて、ClubhouseとSNSの未来について語るルームを、しばらくは毎週水曜19時に定期開催します。
Clubhouseに参加できた人は、ぜひ気軽に遊びに来てください。リスナーとしての参加も、飛び入りスピーカーも大歓迎です。
ちなみに、岡安モフモフのアカウントはこちら( @mofumofu )。
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